年に一度の大きなイベントであるコルプス・クリスティ(聖体祭)。天蓋の布が張られた路地は色とりどりの花で埋め尽くされ、建物の壁には紋章などが入った旗が競い合うように所狭しと吊るされます。この週のトレドでは、ただそこにいるだけで、わたしたちの五感の深い部分が呼び起こされます。タイムの香りに鼻腔が、中世の街に浮き上がる鮮やかな色彩に視覚が刺激されるのです。まるで魔法にかけられたように、わたしたちは中世にタイムスリップしたような不思議な感覚を覚えます。
コルプス・クリスティがトレドで祝われ始めたのは、キリストの聖体を運ぶ聖体行列が街で行われるようになった14世紀。現在は市の大司教を筆頭に、カトリック教関連団体、財団、公私企業、マーチングバンド、一般市民、軍が参加しています。
キリストの聖体はトレドの貴重な宝の一つである聖体顕示台に祀られ運ばれます。16世紀にエンリケ・デ・アルフが創り上げたこの聖体顕示台は、金メッキされた銀製で、宝石と細かな細工の入った彫刻で飾られており、大きなゴシック様式の透かし彫りの塔を表しています。
また、聖体行列の全ルートに天蓋の布が張られているのは聖体顕示台を保護するためですが、このルート全てが、香りのよい植物、花輪、ランタン、花束、贅沢な織物、ショール、旗、その他の多くの装飾で満たされます。
機会があれば、是非トレドのコルプス・クリスティへ。生涯の忘れられない思い出の旅となることをお約束します。