サン・ファン・デ・ロス・レイジェス修道院の外壁にかけられた鎖は何のため?

サン・ファン・デ・ロス・レイジェス修道院

トレド旧市街、ユダヤ人街で壮麗な姿で私たちを圧巻するサン・ファン・デ・ロス・レイジェス修道院。その建設は1477年、カスティージャ女王イサベル1世のもとで始められました。修道院は、もとはポルトガル王国との戦い(トロの戦い)での勝利とフアン王子誕生の記念の意を込めると同時に王室の墓廟(ぼびょう)として建てられましたが、女王イサベル1世がトレドを訪問した際、建物が小さすぎるという理由で墓廟としての案は却下されました。女王はその後のグラナダ王国のナスル朝の征服後(つまりレコンキスタ(国土回復運動)の完了後)、フェルナンド2世と共にレコンキスタ最後の土地であったグラナダに霊廟を建設しました。

この建物にまつわる歴史物語は色々ありますが、この修道院内の教会は長い歴史の中で名の知れた多くのカップルが結婚式を挙げてきた場所としても有名です。フランシスコ会に属し、フランボワイヤン・ゴシック様式とトレドの街全体に融合しているイスラム風のムデハル様式(イサベル様式)とルネサンス様式が見事に調和しています。

建築の指揮を取ったフアン・グアスは、バットレス(控え壁)の間の礼拝堂、クワイヤ(聖歌隊がいる教会内の場所)、そして高位置に祭壇を備えた単一の身廊でこの空間を作り出しました。また植物や想像上の動物、人間を象徴するレリーフで飾られたアロンソ・デ・コバルビアスによる美しい装飾・回廊・階段が一際目を引きます。建物全体はカトリック両王の紋章のほか、くびきと矢のオーナメントで飾られており、両王の治世を記録した碑文も見られます。

トレド旧市街の美しいシルエットを描く、大聖堂・アルカサル・修道院はもちろんトレドのマストスポット。時間が許すのであれば、修道院内部の教会を訪れ、日差しを反射し光り輝く中庭を眺めながらゆったりと回廊を歩ていてみたいものです。また、外壁には鎖と鎖を連結するためのシャックルが見られます。これは、レコンキスタの終結により解放された囚人たちを象徴するものとしてここに残されています。この鎖にまつわる伝説は、こちらでお読みいただけます(スペイン語)。