トレドの歴史

ここでトレドの歴史をざっと見てみたいと思います。前回のエントリーで詳しく解説してありますが、この町はほぼ全周をタホ川という自然の要塞で囲まれた岩の上にあり、唯一川の防衛のない北部にだけ要塞が造られています。この地域では旧石器時代から人々の活動が見られており、ユダヤ文化、イスラム文化、カトリック文化がそれぞれの時代に存在してきました。そのためトレドは「3つの文化が共存する町」としても知られています。

ローマ人たちが占拠した192年にトレトゥムという名前が与えられ、鉄製造と貨幣鋳造が発達しました。5世紀にビシゴード族が現れると、この町は彼らの王国の首都として機能するようになります。711年、イスラム人たちの占拠によりトレイトラとその名が変わります。後の1085年アルフォンソ6世の国土回復によりカスティーリャ国の首都となります。アルフォンソ10世の統治する時代から 1560年に首都がマドリードに移されるまで 、翻訳学院の設立などによりトレドは重要な文化的役割を果たし、繁栄を極めてきましたが、その後トレドの人口は徐々に減少していき、また町としての栄光にも陰りが見え始めました。カスティージャ・ラ・マンチャ州の首都となる1980年までこのような衰退が見られましたが、スペインの大司教の座であり、この町のゴシック様式の大聖堂がこの国の最も貴重な宝あるため、宗教上の首都であることに今でも変わりはありません。

このように、長い様々な侵略の道のりをたどってきたトレドの町は、1986年に世界文化遺産都市として登録されています。歴史的建造物を眺めながら、交差する細い道を散策するのも、隠れ家的バルでタパスをつまみながら赤ワインを楽しむのも、この土地の郷土料理に舌鼓を打つのも楽しいこの町ならではの経験となるはずです。ここにあるすべてが長いトレドの歴史から生まれてきたものなのです。