トレド旧市街に建ち並ぶ石造りの建物はどれも美しく、一歩足を踏み入れた途端、まるで中世に迷い込んだような気分になりますが、今日はさらにさらに時間を遡り、一気に1000年以上も前の空間までわたし達を連れて行ってくれる歴史的価値の高い建物をご紹介します。
ここは、«Mezquita de Bab al-Mardum (バブ・アルマルドゥム・モスク) »、別名 «Cristo de la Luz (クリスト・デ・ラ・ルス: 光のキリストの意 ) » と呼ばれ、スペインがイスラム王朝に支配された後ウマイヤ朝時代(756-1031)のモスクのうち唯一現存する大変貴重なモスクです。建物は999年に建てられましたが、アルフォンソ6世率いる軍がトレドを征服した時代 (1085-)、このモスクにムデハル様式(イスラム建築とキリスト教建築が融合したつくりが特徴)のアプス(後陣)が増築され、イスラム建築を残したまま教会として使われるようになったといいます。
ここでどんな言葉を選んでみてもこの建物の素晴らしさをうまく言い表すことはできないことは承知で簡単な説明を。ファサード(建物正面)はもちろんアラブ様式で、このモスクの建設指揮者アーマッド・イブン・ハディディ、そして建築家ムサ・イブン・アリの名前が文字装飾として刻まれています。さらに半円アーチ、アーチの開口部が壁になっていて実際には通り抜けできないブラインド・アーチ、コルドバのメスキータ(スペイン語でモスクの意)の赤と白のアーチに通じるアーチなど、壁面はまさにアーチオンパレード。もちろん内部も負けず劣らず、西ゴート王国の都でも多く用いられていた西ゴート建築装飾を用いた馬蹄形アーチが整然と並び、さらに天井は9つの異なる丸天井で覆われています。
もちろん多くの伝説も残されています。こちらはスペイン語ですが、辞書を引きながらゆっくり読み解いてみるのも面白いかもしれません。https://www.leyendasdetoledo.com/cristo-de-la-luz/
百聞は一見にしかず。トレドを訪れた際には是非足を運んでみてください。1000年前にタイムスリップできます。
インフォメーション :
開館日 : 平日、土日
3月1日〜10月15日 — 10:00 – 18:45
10月16日〜2月28日 — 10:00 – 17:45
休館日 : 1月1日、12月25日
入場料 : 一般 2.80€
特別料金 2.40€
10歳以下、トレド居住者は無料(要証明書)
問い合せ : 925254191