トレド周辺散策で足を運んでみたいエル・カスタニャール宮殿

Luciはまだ小さかった頃、祖父に連れられてきたトレドのすぐ近くにあるこの小さな宮殿を前に、色々な物語に出てくるお姫様や王子様はここに住んでいるんだと確信していました。時の流れとともに世代も変わり、今度は自分の子供たちを連れて再び足を運んでみることに。

森の中に突如現われる建物を目にしたとたん、物語の中に、あるいは何世紀も前の時代にタイムスリップしたような感覚に襲われます。さらに新しく得た大人の視点で見てみると、各時代の宮廷の伝統を受け継いだエクレクティックスタイル(折衷的。意味としてはさまざまなスタイルを混ぜ合わせつつ全体をまとめるインテリアのこと)に仕上げられていてなんとも魅力的。

起工は1904年、工期5年の工事はスコットランドのお城 (Abbotsford House) からヒントを得た建築家サルダーニャの指揮のによって進められました。現在はパストラナ公爵の私邸となっていますが、文化遺産建築物に指定されているため、一般公開されています。

一般公開日:毎週水曜
入館料:6€

建物全体には切石、屋根にはスレートが使われています。また、半円形のアーチで縁取りされた正面玄関や大きなバルコニー、盾の装飾が施された大きな八角形や多角形の柱の全てが建物を飾り立てると同時に、光と影のコントラストを複雑に描かせることで、そこに立っているだけでまるで美術館にいるような、特別な空間にいるような、芸術的感覚を刺激されるような気持ちになるのは私だけでしょうか。

さらに、この宮殿の周りには広大なトレドの大自然が広がります。トレド山の麓であるこの土地に生息する鹿や猪、ムーフロン(東ヨーロッパに多く自生する野生の羊)、イベリアオオヤマネコ、イベリアカタシロワシなどを窓越しに眺められるだけでなく、その手前にある、敷地内に幾何学的に植えられた多種多様な低木や数々の彫刻、花瓶や鉢、噴水や池で装飾された緑豊かな庭園も楽しめるのです。

また、宮殿周辺には昔のカスティージャ王国を起源とするスペイン貴族の館(ロハスの家)や礼拝堂などがあります。ロハスの家は、農業、畜産、工業用のさまざまな建物で構成されており、周りは入植者や従業員の家も入ったパティオで囲まれています。保存されているものの中で最も古い建造物は、所有者の元住居でした。

礼拝堂は歴史主義様式で、20世紀の最後の四半期に建てられたものです。鐘楼のある単一の身廊で構成されています。

一歩入ると物語の中に引き込まれるような森の中の小さな宮殿。慌ただしい現実からちょっと逃げ出したいときに足を運んでみたい秘密の隠れ家のような空間です。

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