トレドにも、まるで長い間忘れ去られてしまったようなモニュメントがあります。今日はタイムスリップを楽しむべくそんな所に行ってみました。
ここは、ローマ時代に戦車競走を行っていた、«Toletum(トレトゥム)»と呼ばれた競技場の遺跡です。戦車競走とは馬4頭が率いる二輪戦車を使った、御者および馬にとっては重傷を負ったり死に至ったりすることさえ珍しくない危険な競技で、今日のモータースポーツに近いものがあったかと想像できます。長さ422メートル、幅122メートルという巨大な競技場から、当時のトレドがどれだけ重要な街であったかが分かります。さらに驚くのは観客席。なんと1万5000〜3万人もの人が入れるスペースが用意されていたそうです。よく考えると、勘定の仕方が随分大雑把な感じがしますが、これは今のように観客用の座席が設置されていたわけでもなく、またカウントの仕方にもよるためで、まぁどちらにしてもこのイベリア半島のど真ん中の街の競技場としてはえらい数で、当時の戦車競走とそれを行う競技場がどれだけ価値あるものであったかがうかがえます。1世紀の皇帝オクタビオ・アウグストあるいは皇帝ティベリオにより建築され、その後4世紀まで使われていたそうです。高価な素材で飾られた各部はもちろんすべてなくなっており、今日私たちが見ることができるのは石とモルタルで造られた構造部分の一部です。その後のイスラム時代には、うってかわって墓地として使われたようで、その時代の墓石も発見されています。
大競技場から墓地への変貌。さて、2200年にはここに何があるのでしょうか。